一般財団法人 日本自動車査定協会 東京都支所
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査定士の実務
12. 不正車両及び災害車両
01 査定の考え方
02 車両全体の印象
03 運転席及び室内
04 エンジンルーム内
05 ボディ外板
06 ガラス・灯火及びタイヤ
07 査定車の試走
08 修復歴の考え方
09 前部の修復歴
10 側面の修復歴
11 後部の修復歴
12 不正及び災害車両
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不正車両は、交通安全、公害防止のうえからも特に社会的に問題視されています。査定にあたっては、保安基準に違反する改造がされていないか、注意して確認します。


12-1 走行キロ数の改ざん

オドメーターの巻きもどしなどにより、走行キロ数を少なくし、表示・販売することは、不当表示として景品表示法や自動車公正競争規約に違反します。

【 チェックポイント 】
(1) 定期点検整備記録簿との照合
(2) オイル等の交換時のラベルに記載された走行キロ数との照合
(3) メーターの取外し跡(ビスの頭部に傷)
(4) ハンドルのグリップ部やシフトノブの摩耗(スレ)
(5) シートのへたり(しわ)
(6) スイッチ類の文字のカスレ

最近は、デジタル表示の積算計になっていますので、数字の不揃い等がありません。他の(1)~(6)のチェックポイントで確認します。

【 参考 】
定期点検整備記録簿との照合が重要です。


12-2 車台番号の改ざん

車台番号を改ざんされた車両は、盗難車の可能性があり、その行為を行った者は重い罰則が科せられることになります。また、商品車として再販ができなくなる場合があります。

【 改ざんを疑うポイント 】
(1) 車台番号打刻パネルの交換
パネル接合部の溶接やシーラーの状態、他のパネルとの塗色の違い
(2) 車台番号打刻部の切り取り、交換の場合
打刻部周辺の溶接跡や塗装の不自然さ、打刻部裏側の溶接跡
(3) 車台番号打刻の打ち替え
字体の形状や並び方の不自然さ

【 参考 】(車台番号の改ざん)
溶接跡をかくすため、ペイントしていることがあります



12-3 雹害車

雹(ひょう)とは、空から降ってくる氷のかたまりのことです。雲中に生じた氷晶が成長して雪の結晶となり、落下する途中で過冷却水滴が付着して凍結したものです。大きさは、ふつう直径0.5~5センチメートルぐらいになります。

雹害を受けた車両の修理は、ボンネットやトランクフードは交換されることが多く、ルーフは板金塗装されるケースが多いようです。


【 参考 】(雹害車)
ルーフパネル(現状)に雹害が見られます


12-4 冠水車

自動車は、冠水すると次の様な箇所に不具合が生じますので十分に注意して点検する必要があります。

(1) 室内、トランクルーム等に悪臭や汚れが残る
室内にカビの臭いがある
シートベルトが汚れている(上部・下部を比較する)

(2) 電気系統に故障が発生する
ダイナモ、セルモーターの作動不調
P/Wの作動不良

(3) エンジン、足回りに故障が発生する
エンジンが不調となる
ラジエターコアに目づまりがある

以上の様に各所に不具合が発生するため、冠水車の疑いが少しでもある場合には、総合的に点検することが重要です。

【 参考 】(シートベルト)
シートベルトに汚れが見られます


Advice

走行キロ数の改ざん、車台番号の改ざん、雹害車、冠水車等は、どれをとっても商品性に与える影響が大きいので、査定協会では「技能向上研修会」等で、機会があるごとに説明しています。


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