一般財団法人 日本自動車査定協会 東京都支所
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査定士の実務
8. 修復歴の考え方
01 査定の考え方
02 車両全体の印象
03 運転席及び室内
04 エンジンルーム内
05 ボディ外板
06 ガラス・灯火及びタイヤ
07 査定車の試走
08 修復歴の考え方
09 前部の修復歴
10 側面の修復歴
11 後部の修復歴
12 不正及び災害車両
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中古車の商品性を左右する重大な要素として、「修復歴の有無」があげられます。お客様が中古車を購入する場合は、この修復歴を嫌う傾向にあり、再販にあたっては、それ相応に車両価格を下げないと取り引きされないのが実状です。

従って査定する際、外見上何でもないような車であっても「この車は修復歴車かも…」という位の心構えで観察することが重要です。



8-1 修復歴車の商品性

世間一般では、交通事故などで損傷を受けた車両をすべて「事故車」と呼んでいるようですが、自動車業界では、「修復歴車」と呼んでいます。

査定士が使用している「査定基準」の中では、事故による減価を適用する条件を、「交通事故やその他の災害により、自動車の骨格等に修復歴のあるもの」と規定しています。

査定に際して事故による減価をする場合は、修理に要した費用や損傷部位、痕跡等を総合的に判断する必要があります。


車両前部事故現状


8-2 修復歴車の定義

日査協、公取協などの統一基準として修復歴車と定義されているのは、骨格(フレーム)部位等を交換したり、あるいは修復(修正・補修)したものが修復歴車(事故車)となります。

【 参考 】
ボンネットタイプ
(1) フレーム(サイドメンバー)
(2) クロスメンバー
(3) インサイドパネル
(4) ピラー
(5) ダッシュパネル
(6) ルーフパネル
(7) フロア
(8) トランクフロア

(1)から(8)の骨格部位に損傷があるもの又は修復されているものは修復歴となります。但し、ネジ止め部位(部分)は骨格にはなりません。



8-3 車体の骨格とは

乗用車のほとんどがモノコック構造で、車体を軽くし、外部からの衝撃に対し、車室部の前後で衝撃を吸収させ、乗員の安全性を確保する車体になっています。


○印はしっかりとハンダ付けをした箇所で、Xの方向から衝撃を加えると、力を受けた周辺部ばかりでなく、全体が変形することになります。

実際のモノコックボディの構造も、車体軽量化のために高張力鋼板をブロック別にプレス加工し、しっかりと溶接していますから、外力(事故)による衝撃の波及が車体全体にまで及びます。


8-4 修復歴

交通事故やその他の災害により、自動車の骨格等に欠陥を生じたもの、又は、その修復歴のあるものは、商品価値の下落が見込まれるので、「修復歴車」となります。

【 参考 】
ランク 乗用車系 図解(ボンネットタイプ)
A
クロスメンバー
フロントフロア
インサイドパネル
ピラー
ルーフパネル単体交換
トランクフロア
リアフロア
リアサイドメンバー(修理)
B
フロントサイドメンバー
ピラー交換
ルーフ(ピラーから)
リアサイドメンバー交換
C
フレーム
フロア
フロアサイドメンバー
ダッシュパネル


8-5 外板価値



ネジ止め外板で連続する複数区画の交換を要するものまたは交換跡のあるものは、商品価値の下落が見込まれるので、「外板価値車」となります。



リヤフェンダ、リヤエンドパネル等溶接止め外板の交換を要するもの又は交換跡のあるものは、商品価値の下落が見込まれるので、「外板価値車」となります。

【 参考 】
ランク 乗用車系 図解(ボンネットタイプ)
連続するネジ止め外板(交換)
フロントパネル交換
ラジエータコアサポート交換(溶接)
ボディサイドシル交換
ステップ交換
サイドパネル交換
リヤフェンダ交換
リヤエンドパネル交換


Advice

査定の中で商品各差を算定するのは、事故歴(修復歴)です。事故前歴の見落としは査定価格に及ぼす影響が大きく、再販時にはトラブルの原因になりかねません。修復歴発見は「査定の重要ポイント」となります。

修復歴について勉強したいとお考えの方は、査定協会が毎年実施しています「中古自動車査定士技能検定」の講習等で学んでください。


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